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親と選手(子ども)の関係とコーチの役割に関する分析 [スポーツ科学情報]

IO_46466_original1-2.jpgITF(国際テニス連盟)が発行しているCoaching & Sport Science Reviewから,注目記事を翻訳してお届けします.

今回はこちら.

親と選手(子ども)の関係とコーチの役割に関する分析 
Analysis of Parent-Player Relationships and The Role of The Coach

選手に親としてどのように関わるか、また、コーチが選手と親にどのように関わるか考えさせられる文献です。

(文責:スポーツ科学情報部会 高橋)

Coaching & Sport Science Review - Issue 38, April 2006

親と選手(子ども)の関係とコーチの役割に関する分析 
Analysis of Parent-Player Relationships and The Role of The Coach

Catherine Delforge (PhD in Sport Sciences and mental trainer, CRESS laboratory, France)

<はじめに>
親は、子どもがスポーツを行う過程において重要な役割を担っています。このことは、ウィリアム姉妹やマリア・シャラポア、マルチナ・ヒンギスのようなテニス界のチャンピオンの事例を見ても説明がつくことです。これらのチャンピオンたちは、親と非常に良好な関係を築いています。

しかし残念なことに、地方やジュニアレベルにおいて親の行動は、子どもがスポーツをする過程を手助けするというよりも、むしろ妨げとなる行動がしばしば見られます。

<最近の研究におけるレビュー>
この論説の目的は、テニス選手の競技と個人の発達を助けるために親と子どもの関係に関する認識を広め精査することです。下記の表は、科学的研究の知見、親と競技者の質問紙に基づいた研究、コーチとの議論、ケーススタディから得た結果をまとめたものです。

明らかに、この両極端なリストは親の行動に関してタイプ別にに分類した行動モデルです。しかしながら、さらに成功する基準あるいは理想の多くの例外があることに留意しなければなしません。最近の女子テニスチャンピオンの例をいくつかみてみる、この事実を例証しているのです。さらには、親と選手の関係は独特で、これに影響を及ぼす多くの要因があるのです。そして以下のことを含んでいるのです。

・選手と親の双方の年齢年やパーソナリティ
・家族体系
・社会的背景


<好ましい親の行動>
  1. 関心を示すこと(歓声・財政・物資的投資,役立つこと)、家族生活の構成、送迎、栄養
  2. 競技スポーツやテニス界の知識、ロールモデルとなること、子どもにテニスを紹介すること
  3. まず子どもに様々なスポーツを紹介すること、他の活動も分けて行うこと
  4. 支持すること、勇気付けること、慰めること、信頼すること
  5. 動機づけを与え導くこと、要請すること
  6. 献身的であること(趣味や休暇,金銭など)
  7. 結果を総体的に評価すること、競技の重要性や敗北を軽視すること、ランキングに注意を向けないこと、価値を伝えること(闘志、過酷さ、詳細な注意、尊敬、努力、訓練、フェアプレイ、試合中の良い行動など)、客観的であること、子どものレベルやスポーツの重要性に誠実であること
  8. 子どもと他者との関係で一人の親としての役割を加減すること
  9. 会話をもつこと、決断が子どものやる気を引き立たせること、肯定的な会話を維持すること、子どもの要請に注意を向けること、疲労やバーンアウトの危険性、競技経験に目を向けること
  10. 1現実的な日標を立てること、はじめにプレイの重要性や楽しさを強調し、結果に対する改善点を考えること
  11. 子どもの独立と自立を向上させること
  12. 支援を示すために試合中はいること、その際、あくまで自然に思慮深く、冷静であること
  13. 選手や他の親、トーナメント運営委員に尊敬を示すこと
  14. 感情的に冷静になったとき、アドバイスを与え試合を分析すること(もしテニスの知識が豊富ならば)、肯定的であること、敗北から学ぶこと、子どもが自分なりの解決策を見出すために子どもに考えることを教えること
  15. コーチの助言に関心を示すこと、コーチのアドバイスに開放的であること、コーチに対し信頼と尊敬を示すこと、コーチと会話すること、コーチと協同作業をすること、コーチに自分の子どもを委ね課題を委任する方法を知ること

<好ましくない親の行動>
  1. 深く関わっていない、関心を示さない、利用できるものが不足している
  2. 常に存在している、絶大な力を持つ、介入的である、過保護である
  3. 競技に無知であること
  4. 家族の活動を子どものテニス活動に集中させる、子どもから拠出させないで過度に物を購入する、テニスが唯一の趣味である、学校を早期に中退する
  5. 多くの試合に無理やり子どもを出させる、競技に参加する、子どもの目標を考えないでプレッシャーをかける、子どもの反応を誤解する
  6. 親としての指導でない、スポーツ倫理を否定する価値観を伝達する、悪い行動を受け入れる
  7. 言葉や身体的暴力が普段ある
  8. 非難する、子どもに責任を感じさせる、批評する、皮肉を言う、攻撃的である、極度に要求する、褒めすぎる、能力や結果を褒める、過度に褒めたり冷やかしを交互にする,他の子どもと比較する、敗北を受け入れることを拒み、いつも子どもに言い訳をする
  9. 自分自身の願望や子どもへの動機づけを計画する、理想を計画すること
  10. 野心に欠けたり、野心をあまりに持ちすぎたりする、子どもの能力を過大評価する、結果の重要性を強調する、相対的な見方を失う、結果に対し子どもへの愛情と行動を結びつける、飴とムチのシステム
  11. 思春期でも自立するようにさせない、子どもの意思決定を妨げる
  12. 親と子どもの対立、テニスが原因で夫婦が争うこと
  13. 試合中行動に支障をきたすような介入をし、感情をあらわに示す
  14. 試合の終わりに正しく分析せずに失敗や否定的な側面だけをみること、コーチのアドバイスを否定するアドバイスをすること
  15. コーチのじゃまをする、コーチを批判する、コーチとのコミュニケーション不足、コーチと対立すること

<実際におけるコーチの意味>
まず、コーチは子どもと親の関係または競技者の評価を概括したり、あるいは予測したりすることは不可能であるということを忘れてはなりません。しかしながら、身体的、精神的、言語的な虐待は含まない積極的なものであることを確認する結果において、親と選手の関係に気づくことは重要です。

上に示したように、必要で好ましい親の関係と好ましくない行動を伴う過剰な関係とを交えないラインには大きな違いがあります。もし好ましくない行動が続くならば、子どもにとってマイナスな効果が長期にわたることとなります。

ある点で、ほとんどのコーチは、明らかに好ましくなく潜在的に虐待的な行動であるこのタイプを目撃したことがあるであると思います。しばしば、これらの状況は子どもがテニスを始めるとすぐに見受けられます。年月が過ぎ、子どもが上達するにつれて、好ましくない親の行動は大体大きくなる傾向があります。

もし、コーチが好ましくない親の行動として何に分類されるか気づけば、そのような行動を回避したり、回避しようとしたりするための素養をより与えられるでしょう。多くのコーチは、混乱することもしばしばあり、好ましくない行動をとる親を除外しようとする傾向があります。この代わりに、時には親の行動や言動による影響について親に十分気づかせるためにも、コーチはこの行動の例を挙げ説明しようと努めるべきです。

一般的に、気づこうとする親は子どもにとって一番ですが、失敗を犯していることを実際には気づいていないかもしれません。さらに、自分たちの子どもが最高であると疑いなく感じているのです。しかし、親が必ずしも最適な学習環境の与え方を知っているわけではありません。したがって、親はそれらについて教えられ、かつ指導されなければならないと思います。

これらのことを達成するために、コーチは親と開放的で正直な関係を築かなければならないと思います。さもなければ、親はコーチの声に耳を傾けたり、自分たちの行動パターンを改善しようとしたりはしないでしょう。

以前の調査で,我々は実際にアドバイスを求めている何人かの親に会いました。これはごく稀にみられるケースです。それゆえ、親が壁にぶつかっているとコーチが見出す状況を作り、コーチは気をつけなければならない。なぜなら、もしコミュニケーションがなければ、コーチは、親が受け入れないことに気づくよりも、むしろ頑固になり、子どもをトレーニングから外す決心をしてしまうでしょう。この場合、(スポーツ心理学者のような)第三者の介入を求めることが望ましいと思います。

<結論>
親と選手の関係を調和のとれたものにしようとするコーチは、良いコーチと親の関係が子どもの発達において好ましい環境を生み出す手助けとなることも頭に留めておかなければなりません。親との積極的な関係を維持していくためにも、意味を説明し、会話を促進し、また相互の信頼を築くことが不可欠なのです。

最後に、選手にとってコーチが耳を傾けることは重要です。コーチは選手が自宅でどのように過ごしているかいつも把握しているわけではないので、親は子どもが親の行動や動機について理解することを助けるべきだと考えるのです。

文献
1) Côtó, J. (1999) The influence of the family in the development of talent in sport. The Sport Psychologist, 13, 395-417.
2) Delforge, C. (2003) Analyse des rôles et comportements des parents et de leurs conséquences pour les joueurs de tennis. Unpublished PhD thesis, Université de Reims.
3) Salmela, J., & Foumier, J. (2004) Psychologie du sport: Les familles et le sport. Revue STAPS, 64.

(高橋 正則 訳)